眼瞼下垂と加齢

歳をとると目に覇気が無くなったようになります。いわゆる目力の衰えとでも申しましょうか、瞼がだらりと垂れさがって、どんよりとした表情になり、穏やかと言えば聞こえはいいですが、要するに眠たそうな表情になってしまっているわけです。目の下の涙袋のたるみとともに、表情に「歳」を感じさせてしまう大きな原因になっています。これまでは単純に歳のせい、とおおざっぱに打ち捨てられていたこの症状ですが、これも実は眼瞼下垂だったのです。

さて、眼瞼下垂と言われてみれば、確かに上瞼が垂れ下がってきています。ですから、まさしくその通りなのですね。これも後天的な眼瞼下垂に分類されますが、一般的な後天性眼瞼下垂とは一応分けて考える必要があるかもしれません。もっとも症状の顕在化によってもたらされる影響は、個人差もありますが決してあなどることはできません。なぜなら、瞼が垂れ下がることによって視野が阻害される点で、他のケースの眼瞼下垂と何ら変わるところが無いからです。

加齢由来の眼瞼下垂の場合、元々視力低下のリスクがあるところに、視野を阻害する要因が生じるわけですから、なおさら視力を維持することが困難になってきます。あるいは、まさしく眼瞼下垂が原因して視力低下が開始される恐れも出てきます。若い頃に正常な視野を有していた人が加齢による眼瞼下垂を生じても、悪影響は小さくて済みますが、生来的に眼瞼下垂を呈していた人がさらに加齢による眼瞼下垂を併発すると、ますますまずいことになってきます。

症状がそれほど深刻な状態になくとも、加齢による眼瞼下垂は、特に女性の場合は悩みの種となるでしょう。人物画などを見ればよく解りますが、目元のすっきり、ぱっちりとした表情は若さの表現として定着しています。また、演劇などのメークでも、老け役を演じる際にはわざと目元をぼやかして化粧するそうです。眼瞼下垂により瞼が垂れ下がって目力が衰えるということは、それだけ若さからも遠ざかるということなのです。

多くの女性にとっては若さこそ美の拠り所、なのではないでしょうか。もう若くはない、という残酷な自覚をわが身に迫るのは体力の衰え以前に、こうした目元の老化に他なりません。加齢による眼瞼下垂などは、出来得るものなら何とか避けて通りたいところなのですが、こればかりはなぜか人類平等に、いずれ訪れる宿命なのですからまったく困ったものです。そもそもこのやっかいな眼瞼下垂というしろものは、いったいどういった要因により引き起こされるのでしょうか。